「ルワンダ」と聞いて、何を思い浮かべますか?
アフリカ、ゴリラ、コーヒー、千の丘、そして1994年のジェノサイド。
名前は聞いたことがあっても、ルワンダの人たちが普段どんなものを食べ、どんな暮らしをしているのかは、あまり知られていないかもしれません。
でも、その国を身近に感じるなら、歴史や観光地だけでなく、「食」を知るのがいちばん早いと思います。
この記事では、ルワンダに2年間暮らした私が、現地で親しまれている料理や食材、コーヒー、唐辛子文化をご紹介します。
ルワンダはどこにある?
ルワンダは、アフリカ大陸の中央部に位置する内陸国です。
北はウガンダ、東はタンザニア、南はブルンジ、西はコンゴ民主共和国と接しています。
国土面積は約2万6,000平方キロメートル。日本でいえば、四国の約1.5倍ほどの大きさです。首都はキガリで、2022年の国勢調査による人口は約1,325万人です。ルワンダ政府、ルワンダ国立統計局
ルワンダは、起伏のある丘がどこまでも連なることから「千の丘の国」と呼ばれています。
赤土の畑、丘の斜面に並ぶ家、道を歩く人々。実際に訪れると、「アフリカ」という一言から想像する景色よりも、ずっと緑が多いことに驚くかもしれません。
「アフリカ料理」と一括りにできない理由
アフリカ大陸には50を超える国があり、地域によって気候も、育つ作物も、宗教も、歴史も異なります。
そのため、「アフリカ料理」という一つの料理があるわけではありません。
北アフリカではクスクスやスパイスを使った料理が親しまれ、西アフリカではジョロフライスなどの米料理が有名です。海に面した地域では魚介類が多く使われ、牧畜が盛んな地域では肉や乳製品が食べられています。
ルワンダでは、豆、じゃがいも、バナナ、キャッサバ、とうもろこし、かぼちゃなど、身近な農作物を生かした料理が中心です。
日本の食卓とは異なりますが、ルワンダの家庭料理も、特別な食材をたくさん使うというより、その土地で採れたものを煮たり、焼いたりして食べる、素朴な「いつものごはん」です。
ルワンダの食文化
ルワンダの家庭では、一つのお皿に主食、豆、野菜、肉などを盛り合わせて食べることがよくあります。
主食になるのは、米、じゃがいも、バナナ、キャッサバ、とうもろこしなど。そのなかに豆や野菜の煮込みを合わせます。
日本のように毎食たくさんの小皿を並べるというより、一皿でお腹を満たす食事が多い印象です。

同じルワンダでも、家庭の経済状況や地域、季節によって食卓は異なります。都市部ではレストランやスーパーマーケットの選択肢も増え、ピザやハンバーガー、インド料理、中華料理なども食べられます。
「ルワンダの人はみんな同じものを食べている」というわけではありません。
ここからは、私が現地でよく目にした代表的な食べ物をご紹介します。
ウガリ|おかずと一緒に食べる、もちもちの主食
ウガリは、とうもろこし粉やキャッサバ粉などをお湯で練って作る、東アフリカで広く食べられている主食です。
ルワンダでは「ウムツィマ(umutsima)」と呼ばれることもあります。
見た目は白く、食感はお餅よりも少しかため。ウガリ自体の味はとてもシンプルなので、豆や野菜、肉の煮込み、ソースなどと一緒に食べます。
手で少量を取り、丸めながらおかずと合わせて食べることもあります。
初めて食べると、その素朴さに少し驚くかもしれません。でも、味の濃い煮込み料理や辛いソースと合わせると、ちょうどよいバランスになります。

ブロシェット|街でも家庭でも愛される串焼き
ブロシェットは、肉や魚などを串に刺して焼いた料理です。
ルワンダでは特にヤギ肉のブロシェットをよく見かけます。牛肉、鶏肉、魚などが使われることもあります。
炭火で香ばしく焼かれたブロシェットに、フライドポテトやサラダを添えるのが定番。バーやレストランで、ビールと一緒に楽しむ人も少なくありません。
ただし、日本の焼き鳥のように、注文してすぐ出てくるとは限りません。
「ちょっと時間がかかるよ」と言われて待っていると、本当にかなり待つこともあります。それも含めて、ルワンダで過ごした時間を思い出す料理です。
そして、焼いた肉と唐辛子の相性は抜群です。
辛いソースやチリオイルを少し加えると、肉の脂に刺激が加わり、もう一口食べたくなる味になります。
豆、じゃがいも、バナナも日々の食卓に
ルワンダの食事を語るうえで欠かせないのが、豆です。
豆は煮込み料理として食べるほか、米、じゃがいも、バナナなどと組み合わせます。肉を毎日食べない家庭にとって、豆は身近で大切な食材です。
日本では果物として食べるバナナも、ルワンダでは調理用の品種が使われます。
甘いデザートではなく、煮たり蒸したりして、主食のように食べるバナナです。初めて見ると少し不思議ですが、食感は芋に近く、おかずとよく合います。
ルワンダといえば、やっぱりコーヒー
ルワンダの食に関心がある方なら、コーヒーを思い浮かべるかもしれません。
標高の高い土地や気候を生かして栽培されるルワンダ産コーヒーは、世界各地へ輸出されています。

日本でも、スペシャルティコーヒーを扱うお店で「ルワンダ」の名前を見かけるようになりました。
一方、コーヒーの産地だからといって、すべての家庭で毎日コーヒーを飲んでいるわけではありません。
生産された質の高いコーヒー豆は輸出されることが多く、現地では紅茶を飲む人もたくさんいます。
「生産しているもの」と「そこで暮らす人が日常的に消費するもの」は、必ずしも同じではないのです。
コーヒーだけじゃない。ルワンダの唐辛子
ルワンダの農産物として、コーヒーや紅茶は比較的よく知られています。
しかし、実は唐辛子も栽培されています。
ルワンダの農産物輸出を担うNAEBの資料では、唐辛子は園芸作物の一つに位置づけられています。2023~2024年度には242.3ヘクタールで唐辛子が作付けされ、乾燥施設の整備も進められています。NAEB年次報告書、NAEB
その一つが、小さな実に強い辛さを持つバーズアイ唐辛子です。
料理そのものは、すべてが激辛というわけではありません。むしろ、基本の料理は素材を生かした素朴な味付けが多く、辛いものが好きな人は、あとから唐辛子やチリソースを足して楽しみます。

食べる人が、自分の好きな辛さに調整できる。
この食べ方は、料理に数滴ずつ加えて使うチリオイルともよく似ています。
「ルワンダのバーズアイ唐辛子について詳しく見る」
→ 記事①「ルワンダ産唐辛子とは?」
私がルワンダで出会ったもの
私は2022年から2年間、JICA海外協力隊としてルワンダ東部のキレヘ郡で活動しました。
そこで出会ったのが、10代で母親になった若いシングルマザーたちです。
妊娠をきっかけに学校を中退し、安定した仕事に就くことが難しい女性も少なくありません。
けれど、実際に一緒に過ごした彼女たちは、「支援される人」という一言では表せない存在でした。
よく笑い、よく話し、子どもを叱り、音楽が流れれば踊る。私をからかうこともあれば、困ったときには助けてくれることもありました。
私がルワンダで出会ったのは、「遠い国のかわいそうな人たち」ではありません。
同じように働きたいと思い、家族を大切にし、毎日のごはんを囲んで暮らしている人たちでした。
唐辛子を通して、ルワンダをもっと身近に
帰国後、私はルワンダの若いシングルマザーたちと、継続的な仕事をつくる方法を考えました。
そこで始めたのが、ルワンダで唐辛子を育て、日本へ届けるPIRI PIRIです。
社会的な背景だけを理由に、商品を買ってもらいたいわけではありません。
まず、辛くておいしいこと。
料理に使いやすいこと。
そして、パッケージを見た瞬間に手に取りたくなること。
そのうえで、商品が生まれた土地や、つくる人たちのことも知ってもらえたらと思っています。
ルワンダは、遠いアフリカの国です。
でも、コーヒーを飲むことや、唐辛子を料理にかけることからなら、少し身近に感じられるかもしれません。
次に辛いものを食べるとき、その向こうにある「千の丘の国」を、少しだけ思い出してもらえたらうれしいです。
「PIRI PIRIがルワンダで仕事をつくる理由」
→ ABOUTページ

